婚活アプリを1年半やったが、途中から作業みたいになっていた。プロフィールを見て、スワイプして、メッセージして、会って、また最初に戻る。38歳になった春、「このやり方じゃないな」と思って、初めて結婚相談所の扉を叩いた。お見合いで空振りもあった。仮交際中は不安なことのほうが多かった。でも今は、名古屋で一緒に暮らしている人がいる。そこまでの話を書いておこうと思う。
結婚相談所を選んだ理由
アプリを始めたのは36歳の秋だった。
名古屋市内の印刷会社でデザインの仕事をしている。職場は少人数で、独身の同僚もほとんどいない。出会いの場がそもそもなかった。だからアプリを始めた。最初の半年くらいは新鮮だった。でも1年を過ぎたころから、なんとなく消耗してきた。
マッチングはそれなりにできる。会うことにもなる。でも2〜3回会うと、お互いに連絡が減って、自然消滅する。それを何度も繰り返した。何がいけないのかよくわからないまま、ただ続けていた。
転機になったのは、38歳の春に友人の結婚式が2件続いたことだった。おめでとうと思いながら、電車の帰り道に「ちゃんとやらないと」と思った。具体的に何をどうするかは、その時点ではまだわからなかった。
結婚相談所という選択肢は、正直それまで「自分が使うものじゃない」と思っていた。なんとなく、もっと切羽詰まった人が行くものというイメージがあった。でも調べてみると、30代の会員が多いこと、真剣に結婚を考えている人と会えることがわかってきた。アプリと何が違うのかを読んでいたら、「確かにそうかもしれない」と思い始めた。
婚活アプリで「いいね」はもらえるのに、なぜか関係が続かない——そういう経験をしている人には、たぶんわかる感覚だと思う。
マリッジオーシャンを選んだ理由
最初から相談所を探していたわけじゃなかった。「婚活 アプリ 疲れた」で検索していたら、マリッジオーシャンの婚活ブログ記事にたどり着いた。
記事の内容自体は、婚活に関する一般的なアドバイスだった。でもなぜか読み続けてしまった。文章のトーンが、押し付けがましくなかったからだと思う。読み終わって、なんとなく問い合わせフォームを送っていた。深夜だった。翌朝、メールが来ていた。
無料相談に行ったのは問い合わせから3日後だった。担当の田中さん(仮)は、ブログのことは特に触れず、「ふだん休日は何をして過ごすことが多いですか」という話から始めた。婚活の話より先に、自分の話をされた。デザインの仕事のこと、好きな映画のこと、気づいたら30分くらい話していた。
面談の終わりに「今日入会を決める必要はないので、一度持ち帰って考えてください」と言われた。「今日決めてください」と言われなかったことが、逆に信頼できた。
1週間後に入会した。比較はしていない。他を見ようとも思わなかった。
相談所って自分から探しに行くものだと思っていたが、気づいたらたどり着いていた、というパターンもある。
お見合いでの印象
3回のお見合いを経て、3回目のあいさんとの仮交際につながった。一直線にうまくいったわけじゃない。
入会から3週間後に最初のお見合いが設定された。相手のプロフィールを見て「会ってみたい」と思ったので申し込んだが、実際に会ってみると話しているうちに引っかかりを感じた。価値観というか、物事の優先順位が自分とかなり違う気がした。帰り際、伊藤さんに「こちらからお断りできますか」と連絡した。断られるより断るほうが気まずいということを、その時初めて実感した。
2回目は先方から断られた。伊藤さんに「理由を教えてもらえますか」と聞いたら、「詳しい理由はお伝えが難しいのですが、フィーリングの問題かと思います」という返答だった。そうですよね、とは思いながら、少しモヤモヤした。もう少し何か言ってもらえたら、と思った。
3回目の相手があいさんだった(仮名・36歳・調剤薬局勤務)。プロフィールを見て「普通の人だな」と思った。趣味も読書と料理と書いてあって、特別な引っかかりはなかった。当日、あいさんは時間通りに来た。最初の10分は型通りの自己紹介で、特に何もなかった。でも話していくうちに、気づいたら1時間が経っていた。「あ、話しやすかった」と終わってから気づいた。終わってから気づくくらい、自然だったということだと思う。
お見合いで何を話せばいいかわからないという感覚は、最初みんなあると思う。気づいたら話していた、というのが一番楽だった。
仮交際〜真剣交際
仮交際に入って週1〜2回会い始めたが、2か月目に「趣味が合わない部分があっても続けていいのか」という迷いが出てきた。たぶんこういう迷いは、婚活中の誰でも通ると思う。
あいさんは、自分の意見をわりとはっきり言うタイプだった。「どこ行く?」と聞くと「私はここがいい」と答えが返ってくる。最初はそれが新鮮だったが、自分が好きなSFのホラー映画を勧めたとき、「そのジャンルちょっと苦手で」とあっさり言われた。否定されたわけでも何でもない。でも「趣味が全然合わない部分があっても大丈夫なのか」と、その夜少し考え込んだ。
伊藤さんに相談した。「趣味が合わない部分があって不安なんですが」と言ったら、「全部が合う人っているほうが珍しいと思いますよ。何が一緒だと安心できますか?」と返ってきた。名言でも何でもない返答だったが、「何が一緒だと安心できるか」という問いかけは、しばらく頭に残った。
しばらく考えて、「一緒にいて疲れないこと」が自分の中で一番大事だということに気づいた。趣味が全部合う必要はない。そう思えてきた。
真剣交際を決めたのは、ある平日の夜がきっかけだった。仕事でミスがあってへこんでいたとき、「今日調子悪い」とあいさんにLINEした。返ってきたのは「でも今日来れそう?」だった。「無理しないで」でも「大変だったね」でもなかった。その素っ気なさが、なぜか気が楽だった。翌日、伊藤さんに真剣交際の申し込みを伝えた。
プロポーズ・成婚
真剣交際から2か月ほど経って、そろそろ動かないといけないと思い始めた。でも、なかなか踏み出せなかった。「断られたらどうなるか」ではなく、「OKだったとして、ちゃんとやっていけるか」という不安のほうが大きかった。プロポーズしようと決めてから、実際に言うまでに3週間かかった。「言えない」「やっぱり言う」を繰り返していた3週間だった。
場所は金山近くのいつもよく行く居酒屋にした。事前に「今日ちゃんと話したいことある」とLINEしていたので、あいさんもある程度察していたと思う。ビールを一杯飲み終わったあたりで、「一緒に生活しようと思うんだけど、どうかな」と言った。我ながらたどたどしかった。
あいさんは少し間を置いて、「うん、まあ」と言った。「まあって何?」と聞いたら、「いいってこと」と言われた。拍子抜けした。でも、その感じがあいさんらしかった。大げさじゃないところが。
「プロポーズってどう切り出せばいいかわからない」という気持ちは、たぶん自分だけじゃないと思う。答えは、普通の場所で普通に言うことだった。
今は入籍して、名古屋市内で一緒に暮らしている。住まいをこのまま続けるか引っ越すか、お互いの実家との付き合い方をどうするか、まだ決まっていないことがいくつかある。全部解決してから結婚したわけじゃない。でも、一緒に考えていける気がしているから、それでいいと思っている。
仲人より一言
正直に言うと、最初はちょっと頑固なところが心配でした。ご自身のペースで進めようとされるので、うまく進んでいるのかなと思う時期もあって。でもあいさんと出会ってから、少しずつ柔らかくなっていくのがわかりました。おふたりとも本当におめでとうございます。(マリッジオーシャン カウンセラー 伊藤)








